第2回 会員総会を開催しました
総会について
2026年5月23日、一般社団法人薬局DX推進コンソーシアム(PDPC)は第2回会員総会を開催しました。
厚生労働省・内閣府・大阪府からご来賓を迎え、改正薬機法の成立を受けた制度の現状、実証事業の進捗、各委員会の活動報告など、コンソーシアムの「いま」と「これから」を広く共有する場となりました。

改正薬機法の成立と外部委託制度の概要
令和7年5月21日、改正薬機法が公布されました
「特定調剤業務」として、一包化とその付随業務(同一服用時点の他の薬剤の組み合わせ作業)の外部委託が法的に可能となる条文が新設。
令和9年5月までに施行予定です。
今回の改正薬機法は、当コンソーシアムが2021年から積み上げてきた国家戦略特区での実証事業と、そこで得られたデータが制度設計に直接貢献した結果です。厚生労働省の蓮美室長補佐より、法改正の背景と今後のポイントについてご説明いただきました。
調剤の一部外部委託の政省令への規定等に際しての論点
- 委託できる業務の範囲:特区の実証事業では、一包化のみで完結するものが約1/3、委託薬局で追加業務が必要なものが約2/3であることが明らかになりました。このため、一包化に加え、一包化した薬剤と同一時点での服薬を前提とした他の薬剤を組み合わせる作業についても、特定調剤業務の範囲に含める方向で検討されています。
- 患者同意のあり方:患者様に十分理解・納得いただくことが重要です。一方で、業務が煩雑とならないよう、文書への署名までは求めず、初回時に2回目以降の包括的な同意を得ることも可能とする方向で検討されています。コンソーシアムでの実証事業で明らかになった課題が反映されています。
- 委託先の地理的要件:現時点では同一都道府県内に限定。範囲について引き続き検討することとし、法施行後2年以内に結論、結論を得次第速やかに措置する、とされています。
- 直接配送(直送):遠隔・画像監査の技術的課題が残るため、現時点では対象外。今後、特区での実証やその他エビデンスの取得が行われた場合には、その結果を踏まえてその取扱いを検討する、とされています。
「大阪での実証があったからこそ、具体的な数字と事実に基づいた制度設計ができた。今後のマニュアルやQ&Aの整備にも、コンソーシアムの知見を参照していきたい。」
— 厚生労働省 医薬局総務課 薬局販売制度企画室 蓮美 由加 室長補佐(要旨)
国家戦略特区から全国展開へ――内閣府からのメッセージ
内閣府 地方創生推進事務局の松本周一参事官より、特区制度の意義と今後の展望についてご説明いただきました。高市政権の「日本成長戦略」「地域未来創造戦略」とも連動する形で、特区制度のさらなる活用が期待されています。
「今回の一連の流れは、特区における実証を通じて全国展開をしていくという、まさに特区として理想的なあり方です。直送など残っている課題は、引き続き国家戦略特区の枠組みで提案・実証を進めてほしい。」
— 内閣府 地方創生推進事務局 松本 周一 参事官(要旨)
理事長より:外部委託が目指す「薬剤師の未来」
狭間研至理事長より、コンソーシアムの設立経緯から現状、そして中長期の将来展望が語られました。
コンソーシアムの歩み
- 2021年 ── 規制改革推進会議にて「調剤業務の一部外部委託」を提案
- 2023年9月 ── 大阪府と共同で国家戦略特区への提案。38社でコンソーシアムを組成
- 2024年8月 ── 実証事業(フェーズ1)開始
- 2025年4月 ── 一般社団法人化
- 2025年5月 ── 改正薬機法 公布
- 2025年8月 ── 第1回会員総会。会員57社まで拡大
「外部委託自体が目的ではなく、それによって一体何が変わるのかというところがある。薬剤師という社会資源をいかに薬品の適正使用・医療安全の確保にシフトさせるかが肝になる。」
— 狭間研至 理事長(要旨)
狭間理事長は、近い将来の「店舗内業務集約による対人業務拡充」から、中長期的には「地域調剤センターの本格稼働」「フォーミュラリー標準化による医薬品流通の最適化」まで、10〜15年先を見据えた構想も提示。外部委託を医療の質・効率化の基盤として位置づける大きなビジョンを共有しました。
各委員会からの活動報告
総会では7つの委員会・班から活動の進捗と成果が報告されました。
直送の手順書を整備・ヒヤリハット対応体制も構築
遠隔監査の4ステップフロー・薬袋QRコード照合・配送管理帳票を整備。初のヒヤリハット事例(PTPシート破片の混入)に対し、未然防止フローチャートを新たに作成しました。
✅ 直送手順書 完成(行政協議中)月300件目標を達成。重点薬局・モデル薬局の役割分担を確立
2025年10月の35件から2026年4月には月次目標300件を突破。在宅患者中心の「重点薬局」と業務範囲拡大を検証する「モデル薬局」に役割を分けた運営体制を構築しました。
✅ 月次目標 達成N=5,000人アンケートで患者ニーズを可視化。倫理審査も通過
患者の約半数が外部委託に前向きであることを確認。日本薬局学会の倫理審査を通過し、薬剤師・スタッフ・患者を対象とした継続的なアンケートを2026年3月より開始(2027年5月末まで)。
✅ 倫理審査 通過CSDataによる標準化で時間創出効果が大幅改善。経済性の成立可能性が見えてきました
委受託間の標準化データフォーマット(CSData)の導入により、時間創出効果が大幅に改善。経済性を阻害している要因が明確になってきており、一定規模以上で経済性の成立可能性が見えてきています。
直送に向けた技術基盤を設計中
薬袋PDFの連携・QRコードによる自動照合の仕組みを考案。散剤・外用剤など業務範囲拡大に伴う「コード粒度の課題」(YJコードとGS1の中間粒度)の解決策を検討中です。
✅ 直送手順書 完成(行政協議中)異なる薬局システム間での在庫管理フォーマットを定義
委受託間のデータフォーマットの定義・在庫管理システムメーカーへの推奨対応の取りまとめを進行中。納品書のQRコード化による出入庫処理の自動化も目指しています。
外部向け情報発信を本格始動
改正薬機法施行まで約1年という節目に、コンソーシアムの活動・成果を広く正確に伝えるための広報活動を開始。SNS・YouTube・次世代薬局EXPOでの展示とセミナー企画・学会出展(7月:日本在宅薬学会、10月:日本薬局学会)を予定しています。
今後の展望
改正薬機法の施行(令和9年5月予定)に向け、コンソーシアムは以下を重点的に取り組みます。
- 直送の実証強化:遠隔・画像監査のエビデンス蓄積とCSデータの双方向連携インフラ構築
- 委託業務範囲の拡大:錠剤・カプセル剤の取り揃え、ホチキス止めなど新たな業務類型の安全性検証
- 在庫管理DXの推進:委受託間の統一データフォーマット策定とシステムメーカーとの連携
- 有効性・経済性の定量化:アンケートの継続実施と、薬局規模別コスト試算の提示
- 外部広報の強化:社会に向けた正確な情報発信と、加盟企業のさらなる拡大

